囲碁コラム

惜しい!「カケメ活き」出現ならず

囲碁には「欠け眼活き」という非常に珍しい状況がある。今まで40年以上多くの碁を見てきたが、これだけは未だに一度も目にしたことが無い。

 

しかし最近、妻がテレビ棋戦で対局した時にそれが起こった。

正しく言うと実現はしなかったのだが、かなり面白い形になったのでご紹介したい。

 

まずカケメ活きの定義の確認から。

1図の黒は死んでいる。

1図

黒が2ヶ所持っている空点が「眼」では無く「欠け眼」である事は、囲碁を知っている方ならすぐお分かりと思う。

 

ところが2図の様に、グルっと外側が繋がると白から取り行く手が無く活きている。

2図

これが「欠け眼活き」である。

欠け眼にしている白を包む様に、黒の欠け眼同士が長い道のりを経て連結し、かつ包まれた白も活きている。

 

 

普通は古典詰碁でしかお目に掛かれない、この珍形が出現したのは女流棋聖戦の1回戦、三村芳織三段ー牛栄子二段戦の最終盤である。

3分ほど動画で説明してみたので、是非御覧いただきたい。

 

この碁は幽玄の間ネットでもライブ中継された。

芳織三段は惜しくも歴史的大魚を見逃してしまったのだが、終局後に中継を見ていた謝依旻さんはじめとする多数の棋士に「かおりさん勝ってたのに!欠け眼活きで!」と声を掛けられたそうだ。

 

ただし、気が付かなかったプロも少なからずいた。

解説の蘇耀国九段も全くウッカリしてこの事を指摘できず、この貴重な事実は番組では全く触れられていない。かくいう私も見て直ぐには理解できず、思わず唸り声をあげてしまった程だ。

 

興味がある方は番組を見てみると面白いと思う。

2018/11/4に公開された、囲碁プレミアムでの放送はこちら

テレビ「囲碁・将棋チャンネル」では同じく11/11以降に放送される。

-囲碁コラム