三村九段のココだけの話

「正解」と「納得解」について

ちょっと思いついただけで、まだ自分の中でまとまってない話を書きます。

囲碁を打つ時や学ぶ時には「正解」と「納得解」の2つがあって…というようなお話です。

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▼AIは正解オンリー▼
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私の囲碁道場でも子供たちがAIを使って練習することがすっかり普通の光景になりました。

囲碁AIは良い手を教えてくれますが、理由を説明してはしてくれません。

 

正解だけを知らせて、納得はさせてくれないわけですが
彼らがそれを苦にする様子は、特に見えません。

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▼大人は納得が欲しい▼
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大人が学ぶ時には、正解だけ示されても受け入れるのが難しい面があるのでは無いでしょうか。

 

いくら自分より強い相手からの指摘だと言っても

「なぜそうなの?」に答えてくれないと、スッキリしない気分になると思います。

 

囲碁に限らず、大人があるテクニックを身につける時には、その仕組みを納得できると
「その手順」と「使える状況」を覚えやすくなります。

 

そして1つずつ理解したテクニックを使い分けて、作戦を組み立てる。

その様に考えを楽しむのが、多くの大人が打つ囲碁ではないでしょうか。

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▼子供は考えない▼
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子供が囲碁を打つ時には、ある程度強い子でも、考える時間が大人に比べかなり短いものです。

 

「こんなに考えないのに何故上手く打てるのか?」と理解に苦しむ声も聞きますが

 

その理由は、子供の囲碁は、思考ではなく直感重視だから。

無意識で処理を行っているからだと思います。

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▼プロの碁は「子供の碁」由来▼
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僕らプロも同じです。

大量のインプットと反復練習で、囲碁の基本スキルを無意識で処理できるところまで鍛えています。

 

そして無意識では処理できない難しい部分だけを「思考」します。

無意識で処理できる部分を広げていくことイコール「囲碁が強くなること」なのです。

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▼納得は欠かせないもの?▼
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思考力を駆使して囲碁を打っていく大人にとっては、納得、腹落ちが欲しいと思うのですが

 

囲碁が上達する最強の方法は「反復練習」と「大量の正解インプット」

が、ほぼ真実だと私は思っています。

(そんな身も蓋も無いこと言っていいのか?)

 

ただし、囲碁を楽しむ大人にとって、考えて理解することは「目的の一部」でもあり欠かす訳にはいきません。

 

ただ覚えるとか、機械的に繰り返す様な練習は、味気なく楽しくない。やりたくない事だと思います。
(私も嫌いです)

 

しかし何でも「考えれば分かる」と思うのは危ないのです。特に囲碁の場合は。

あまりに全てを「理解」で進めようとすることは、コスパも良くないと思っております。

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▼大人への指導に求められるもの▼
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ここからは私の指導者目線での話にもなって来ますが

 

腹落ち感が重要な大人指導では、指導する側に「あるスキル」が求められると思っています。

 

それは「その人の理解度や感情に寄り添うこと」です。

これはたぶん「正解を与えること」よりも優先されます。

 

場合によっては先生が与えた答えが「正解」で無くても構わないのです。

「そうか、なるほど!」と思えれば生徒さんは楽しく囲碁を続けることが出来て

それがやがて上達にもつながって行くことでしょう。

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▼子供は納得を必要としない▼
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子供たちはそこまで「納得」にこだわらず、先生の教えを理由なしでも受け入れます。
(あるいは脳内スルーします)

 

まだ理解力、思考力が低い子供たちは「大量の正解」をインプットして直感を磨くという学習法が得意で、それが至高のレベルに到達する唯一の道でもあります。

 

私は道場でもこの考えで指導を行っています。

できるだけ質の高い「答え」をいっぱい与えて、子供たちは全身で丸呑みして体で覚えていく。という学習環境が理想だと考えています。

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▼大人を納得させるのは大変▼
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実は私は「なぜそうなの?」を丁寧に教えてあげるのが得意ではありません。
(そんなことバラしていいのか?)

 

正解をいったん横において、生徒の納得に寄り添うような能力が低いのです。

 

 

この点において妻の「かおり先生」に私は全くかないません。

私が子供への指導ばかりをやっていて、大人むけの教室をしていない理由がここにあります!

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▼まとめ▼
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書いているうちに予想外の方向へ行ってしまった感がありますが、無理やりまとめます。

  • 思考力がまだ低い子供は無意識で囲碁を学ぶ
  • それが結果的に有利に働くのではないか?
  • 大部分の大人は納得が欲しい。
  • そういう方は私にではなく「三村芳織三段」に習えば上手くいく。
  • しかし「納得感=上達」では無いのではないか?
  • 大人も反復練習で無意識部分を鍛えることを私はオススメしたい。

です!いかがでしょうか。

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