日本発の世界棋戦「ワールド碁チャンピオンシップ」が規模拡大され、3期目にして国内予選と国際予選が行われることになった。
このWGC杯は、2017年の初回に日中韓の代表1名ずつと日本の最強AI「DeepZenGo」4者での総当たり戦で注目を集め、翌年の第2回は、日中韓台4カ国の代表6名(日本2名)でのトーナメントになった。いずれも韓国の朴廷桓九段が優勝している。
3回目の今回は、8名のトーナメントという事で、また参加者数が増えている。
しかもトップ選手をシードで選ぶ形式から、予選ありの全棋士参加、いよいよ本格的な世界棋戦に発展した。僕ら棋士は勿論、囲碁ファンにとっても、こんなに嬉しいことはないだろう。
棋戦の概要
予選から本戦への枠は3つ。その内の1つは「シニア枠」となっている。
シニア枠と聞いた時は思わず「自分も可能性あり?」という気になったが
【40才以上がシニア】というのがミソ。韓国の三星杯のシニア枠は確か45才以上だったと思うが、40才以上というのは高尾紳路九段、山下敬吾九段まで含まれる。こりゃ私の出る幕はなさそうだ(笑)。
ただ、40才以上の枠があると日本棋士が抜けやすくなるとは思う。特に中国は、40過ぎた現役棋士はいない。
決勝トーナメントに日本の強い棋士をひとりでも多く出せれば、日本選手が優勝する可能性は高まるわけだ。
ということで、まず国内予選が、2018年12月に行われた。40才以上の棋士は一般とシニアを選ぶ事ができる為、趙治勲先生や依田さんら一部の棋士は一般を選んでいる。
*全ての組み合わせと結果はこちらから*
私はシニア枠にしては、やけに厳しい感じの枠に入った。
持ち時間は60分、秒読み60秒。10時、14時半と2回打ち、勝ち残ると翌日も同じ形で打つ。
2日連続で4回戦消化は、今までの日本には無かった短期決戦方式で、私も初経験だった。
長考派の棋士などは、午前の対局が14時半までに終わらないこともある。
武宮先生は3回戦の対局が長引いて、休憩を殆ど取れずに私との4回戦を打ったと思うが、全く疲れている様子は無かった。
中盤に私がハッキリ優勢になったものの、終盤猛追されて私はヨレヨレ。からくも1目半残った。
先生は私より18才年上だが、信じられないほど若々しい。タイトルを取る様な棋士は体力でも差がある。
運良く4回勝ち抜けて、次は年明けの国際予選を打つことになった。その組み合わせは以下の通り。
シニア枠
やはり中国棋士は少なく、韓国棋士が多い。懐かしい名前ばかりだ。
そして持ち時間2時間を4日連続、1日あけて決勝というタイトな日程は、中韓開催の世界戦予選と同じスタイル。
この様に海外の棋士を招いて予選を行うのは、日本では初めてのことだと思う。
私がもしこのトーナメントを優勝できて、世界のトップ選手と1局でも打てたら非常に嬉しいが
日本囲碁界のために、という目線で見れば、最も強い日本棋士が抜けて優勝して欲しい。私は出来る限り海外勢には勝って少しでも貢献したいと思っている。
一般枠の組み合わせ
凄いメンバーだ…顔を見るだけでも興奮しそう。この強豪達と戦う日本の若手棋士達を、全力で応援したい。
本戦は3月だろうか。
久しぶりに日本棋院でこんなイベントが行われる事に、ドキドキする囲碁ファンの方も多いだろう。私も非常に楽しみにしている。