アジア太平洋地域予選を全体1位で突破し、世界大会で4位に入賞したmori選手。kimi-lol.comに掲載されたインタビューの内容を、ゲームの知識がない方にも伝わるように紹介する。ゲーム用語には()で補足を入れた。


世界大会Tactician’s Crownに参加して

──4位入賞おめでとうございます!今のお気持ちをお聞かせください。

Mori: 過去一面白い世界大会って言ってる方も多くてうれしかったですね。

──世界大会初出場。実際どういう気持ちで臨んでいましたか。

Mori: 1日目で落ちることだけは避けようと思ってました。ルール的にも下8人(DAY1で脱落する人数)に入らないようにしないと。少しでも長く参加してたいなと思ってました。

そもそもこの世界大会でるまでは、セット15(前シーズン)でTT(アジア予選)から出場するプレイヤーだったので世界大会に参加しているプレイヤー全員が格上だと思っていて自信がなかったです。セット16(今シーズン)はプロサーキット(プロリーグ)も初めてで残ることにも必死でしたし、かなり運がよかったと思います。

──改めてMoriさんのTFT歴を教えてください。

Mori: TFTはセット1(サービス開始時)からやってましたが、2、3セットはやらずに、合間合間でちょくちょくやってみてました。セット7のドラゴンランド(2022年頃のシーズン)から本気で取り組むようになりましたね。それまではLoL(League of Legends、5人1組のチーム対戦ゲーム)をメインで遊んでいたので。

──LoLはどれくらいプレイされていたんですか。

Mori: LoLはシーズン4から遊んでいて、日本サーバーができてからはずっとチャレンジャー(最上位ランク)になってました。2021年のシーズン9まではチャレンジャー常連で頑張ってました。

僕はキャラプール(使えるキャラクターの種類)が少なかったからチャンピオン(キャラクター)をBAN(使用禁止に)されたらドッジ(試合回避)せざるを得なくて、そしたら待ち時間で待たされる。

それでLoLに少し疲れて、TFTをやるようになりましたね。

──たしかにLoLのソロキュー(一人で参加するランク戦)はストレス感じることありますもんね。

Mori: そうなんですよ。自分はケンカとかしなくなりましたが、ゲーム中たいてい味方がケンカしちゃうんですよ。それもストレスで。ゲーム開始の待ち時間20〜30分待たされた後、試合中にケンカが起きて、楽しくなくなるわけです。

そこでもともと好きだったTFTをしっかりやりはじめました。そのころからグランドマスター(上位ランク)ぐらいにはなれてたので、チャレンジャー(最上位ランク)になりたいなと思って、2021からTFTに集中してLoLやらなくなった。

──ちなみにLoLのチャンピオンは何をつかっていたんですか。

Mori: 特殊も特殊で、ステルスチャンピオン(姿を消せるキャラクター)が好きでした。ソロキューで強いチャンピオンが好きだったので。JG(ジャングラー=マップを巡回してチームを支援する役割)メインだったのでシャコでした笑。恥ずかしいですよ今となっては笑

イブリン・シャコ・カーサスばっかり使ってました。イブリンが得意でしたね。JG専門だってだけだと高レート(上位帯)で勝てなくて自分の戦術を持つ必要がありましたね。

──TFTの競技シーンに向けていつから活動しはじめましたか

Mori: セット7のときtitleさん(日本のトッププレイヤー)も知らなかったんですよ。本当に一般エンジョイプレイヤーでした。でも世界大会を観戦してたときにtitleさん2位になって泣いてたんですよ。

2位でも1000万円もらえるんですよ。それでも悔しくて泣いていたことが衝撃で、TFTの大会に興味を持つようになりましたね。普通の人からしたら2位でも偉業だと思うんですよ。titleさんは志が違うんだなと思って興味をもちました。

そこから大会の情報を得るようになりました。

そのときはTC(Tactician’s Crown=世界大会)のDAY3に出ることを目標にしてました。DAY3は配信カメラをつけたりしますし雰囲気が変わりますし地域大会のweek1への出場権もかかってきますから鬼門で。

セット16はあれよあれよと世界大会までこれて奇跡の連続でした。

──奇跡といいますがMoriさんの実力があってこそだと思います。Moriさん視点では奇跡だと感じる理由はなんですか。

Mori: 自分のプレイをよく見てるんで、自分の悪いところばかり見えてしまうんです。

自分はミスが多々あって、うまい人はミスがすくないと思っているので、周りが格上に見えてしまい勝った時に運がいいのかなと思っていますね。

──糧になったことはありますか?

Mori: プロサーキット(プロリーグ)はとても勉強になりました。相手が自分のミスをとがめてくるんです。プロサーキットに入ってから明らかにうまくなったと思います。

──ミスをとがめてくるとはどういうプレイですか。

Mori: 例えば4-2(ゲーム中盤の特定のラウンド。操作が集中する忙しい場面)のラウンドとか忙しいじゃないですか。

ランク戦で4-2オールイン(持っているお金を全部使って駒を大量に買うこと)したりアイテムはずしてつけれなかったり。そこでミスってラウンドを落とすとかあると思うんですけど、プロサーキットは4-2のタイミングのミスがほとんどないんですよ。

ランク戦だと少しミスっても勝てる時もあるけど、プロサーキットだとミスした分ラウンドを落とすっていうイメージですね。

──1点気になってたのが進行でよく素材アイテム(完成品になる前の装備パーツ)も駒に乗せて1体削る意識が高いように見受けられたんですが。

Mori: そうですね。ベルトや涙(装備の素材パーツ)1つつけておけば駒がもう一回スキル(必殺技)を打って勝ったりとかありますし、僕が敬愛するsetsuko(北米のチャレンジャー配信者)がそういうプレイをするんでつけるようになりましたね。

setsuko以外にも強いプレイヤーがいるんですけど、面白すぎるしうますぎるから好きです。

──素材アイテム以外で意識していることはありますか。

Mori: 配置にも結構うるさいです。細かい配置で勝敗がかわるので配置にはかなり気づくようになりました。

素材アイテムつけたり配置を意識するようになって細かいところが気になるようになった結果、取り外しがなくなることが多いですね笑

──配置でいうとこういうことを意識してたとか例があれば教えてほしいです。

Mori: セット16で一番わかりやすい例がデマーシアvsスレイヤー(どちらも駒の種族=チーム分類)ですね。

スレイヤーvsデマーシアはガレン(タンク役の駒)の配置次第で勝敗が変わります。

ガレンを相手のベルヴェスとアンベッサ(スレイヤーの主力駒)の前におけるかどうかで勝敗が100%覆ります。

相手のスレイヤーの配置が逆サイドだとJ4・ポッピーなど弱い駒でベルヴェスがキル(撃破)をとって攻撃速度が上がっていくし、弱い駒で巨人のスタック(攻撃するたびに溜まる強化効果)も貯められてしまう。

なのでガレンとラックスをどちらに配置するか、スレイヤー側ならガレンに当てないように配置することがとても大事でした。

でもこれをさらに難しくしてるのが中盤3人誰とあたるかわからないことなんですよね。

スレイヤー対策してたのにダイアナとかアサシン系(敵の後衛を直接狙う駒)の駒がいる場合、ダイアナにラックスが倒されちゃうとかあるので、勉強すればするほどこの駒こっち置いておけばとかがでてくる。

メレーキャリー(近距離で戦う主力駒)やアサシンは配置がすべてだと思います。

昔はキャリー(主力の攻撃役)の前にファイター(前衛の壁役)をおくと有利だったけど、今はフォーカス(集中攻撃)されないようタンク(盾役)の配置はより意識する必要がある。

トリンダメアとかは★2ニーコ(同じ駒3体を合成して強化した状態)が最初にフォーカスされちゃうとニーコが倒された後にセジュアニより前にでたトリンダメアがフォーカスされて倒されちゃうことがある。そうならないようにニーコを1列さげて一番固いタンクのセジュアニをフォーカスさせるとか配置はとても大事だと思います。

──配置もそうですがどうやってTFTを学んでいますか。

Mori: 失敗して学んでいます。

なんで負けちゃったのかなを考えたときに全部自分で学ぶしかない。基本独学です。Outplayed(試合録画ツール)をみて反省したいことは覚えているので、

この配置なんで殴られてるんだっけとか、オーグメント(試合中に選ぶ追加効果)の選択肢合ってたかなとか、合っていた場合どうしようもない試合だったなってなるとメンタル的にもよくなるし、

配置どうおいたら勝ってたかな?とかを試合を見て振り返ってますね。

──どれくらい試合を見直すんですか?

Mori: 下位とった試合は全部みていると思いますよ。

インキュー中(次の試合のマッチング待ち)とかひまなので。下位をとった原因がわかれば次につながりますしね。

世界大会の会場の様子について

──中国の雰囲気はどうでしたか

Mori: 中国は快適でした。全部手配してもらったので快適でしたね。

PCが日本語化できなかったり、DiscordやGoogleがつなげないので日本のVPNを入れてたんですけど、再起動するたびにリセットされて設定が消えちゃうことが多々あった。困ったことはそれぐらいでしたがすぐなれましたね。

ホテルはeスポーツホテルというところで練習もできました。

──YBY(ベトナムのチャレンジャープレイヤー&配信者)とも写真とってましたよね

Mori: とても嬉しかったです。APACと中国のプレイヤーがいましたが、APAC勢と写真や交流は行えましたね。

──Ping(通信遅延)が200(0.2秒)ありましたよね。

Mori: 考えることは得意なんですけど操作速度はおそくて、さらにPingもあってきつかったですね。

でもtitleさんやsummertimerさん(前世界チャンピオン)も同じようにプレイしていたはずなので言い訳できないですね笑 苦手なところがさらにきつかったです。

世界大会の試合を振り返る

──DAY1〜DAY3 印象にのこっている試合はどの試合でしょうか。

Mori: 全部覚えてますけど、決勝いきが決まったDAY2のダリウスリロール(低コストの駒を何度も引き直して強化する戦術)の試合と、DAY3の1位をとった2試合と最後の試合ですね。

──最後の試合は惜しかったですね。

Mori: titleさんやsetsukoだったら1位とれてたはず。

今回4位だったからなんとかなっていますが、悔しくて狂いそうでした。

スカトルパドル(ゲーム序盤の駒選択フェーズ)で普通預金口座(お金を貯める戦術)からライズ(キャラクター名)やる予定でしたが、3-2(中盤のラウンド)でプリチケ(特殊な効果)きて4コス★3(高コスト駒の最大強化=同じ駒9体分の合成)が見えて、こういうことやるしかないなと思ってプレイしました。ユナラのアイテムとアンベッサ★3もできていれば1位もありましたね。

あのときは人生で味わったことのないような感覚でした。

ユナラ★3ができた瞬間優勝したと思ってこわばっちゃって、アイオニア(種族効果)を出すべきでしたしジュエガン(アイテム名)をユナラに移すべきでした。

前固くすれば勝てると思ったけど、ここは実力でしたね。アンベッサ★3を見るべきでした。

4位には大満足しているけど、人間て欲深いもんで1位をとれたと思うと悔しいです。

自分の指先しだいですぐそこにあったのにっていうのが悔しいですね。

TT(アジア予選)から出てた立場からすると奇跡的だったし4位には満足しています。

──そう考えるとDAY1はふるってなかったですよね。

Mori: そうですね。DAY1は残りたいという気持ちでしたし、DAY2は2戦ごとに確実に残ろうという気持ちでプレイしていました。

それなのにDAY2の一戦目で8位とったときはマジで終わったと思ってました。

そこから8レベ(レベル8=駒を多く配置できる段階)運だけアニー2(アニーというキャラの強化版)で1位を連続でとれて、気づけばベスト16までみえて決勝いけるってなりました!

──そしてDAY2最後の試合ですね

DAY2の13試合目。最後に好きなオーグメント(追加効果)混沌もきてよかった。

あの時は3位に入れば決勝に行けると思っていたんですけど、携帯みれないから成績が(正確に)わからなくて、4位以上であればいけると思ってました。

5-1(終盤のラウンド)でHP 22(残り体力22)できついなと思ってましたが何とかなりました。

──本当にハラハラしましたし決勝いけたときは見てるこちらもうれしかったですね!

1日でも長くいられることが凄いうれしくて、勝ち残るとホテルにもどって会場にいけるっていう嬉しさを感じました。DAY2も2試合で終わる可能性もあったけど、最後の試合で3位に入った瞬間はめちゃくちゃうれしかった。

この嬉しさは表せないですね。いつ落ちてもおかしくないなかで、2日目1位を3回とれました。

──1位気持ち良すぎませんか?

Mori: スクリム(練習試合)ではまじでアベレージ6(平均順位6位)とかで本当に勝てなくて、デマーシアライズ(デマーシア種族+ライズというキャラを軸にした構成)を1回もやってなかった。8レベ(レベル8)でガリオアンロック(ガリオというキャラが使えるようになる条件を満たすこと)しないといけないしケネンコブコ(必要な駒の名前)必要だし、3コスリロール(コスト3の駒を引き直して強化する戦術)最強でしょ!と思ってプレイしてたし、シャドウアイル(駒の種族)も全部下位だし、もうよくわかんないけどライズやるしかないってなって、1回やればコツはつかめるなと思ってプレイした。

HuanmieもDobbleもJazlatte(いずれも強豪選手)も落ちた。Dobbleは1位-1位-2位-2位とかで圧倒的な成績だったけど決勝に行けなかった。

以前Binteum(韓国のトッププレイヤー)が「世界大会は運だ」と話をしてましたが、このレベルになると運も必要だなと感じましたね。

──HuanmieがDAY1で落ちるとは思わなかったですね

Mori: 中国放送はHuanmie応援団だった。観客の声援も凄くて。

試合中のリアクション

──Xでも試合中のカメラでMoriさんのリアクションが話題になってましたね。ダリウス2(ダリウスの強化版)との遭遇で頭かかえてたのはおもしろかったです。

前のラウンドから各プレイヤーを見ていてその人もスター誕生(特定条件で駒が強化される効果)でダリウス0体からダリウスきそうじゃんって見てたんですよ。小さな複製機(駒を複製するアイテム)ももってて。

そしたらダリウス★2になったって情報が出て、ショップ(駒の購入画面)に2体ならんだのかなと思って盤面見に行ったら小さな複製機ものこってたんですよ。つまりショップ3体並んだってことですよ!

そもそもスター誕生からダリウスってあんまりいいプレイじゃないですよね。それでダリウス★2は、「え、どういうこと?」ってなって驚いたって感じですね。

──SAYA選手の活躍もすごかったですよね

その試合SAYAもノクサス4コス(ノクサス種族のコスト4の駒)やるしかないって状況でほぼ7位8位になることが確定していたんですが、ゼラス2アジール2(どちらもキャラの強化版)になって逆転。レベル7でアジール、セラフィン★2をつくるのはさすがに意味がわからないです笑

世界中の運が集まってたのかなとも思います笑

話をきくとSAYAが21歳でBINBINが19歳らしく、XunGe(元世界王者)などの元世界王者も大会に出られないぐらいどんどん若いプレイヤーが中国ではでてきているそうです。

──オレソル(Aurelion Sol=キャラクター名)の試合はどうでしたか?

3-3で盗賊(ゲーム内イベント)から出たクラーケン(アイテム名)をアフェリオス(キャラクター名)につけちゃった。それでアフェ売りかえようとか考えて売っちゃいました。他プレイヤーが4体アフェをもっててひけないかもしれないと思って頭かかえました。

ただオレソル構成はロリスとダイアナとタリック(いずれもキャラクター名)が大事ってわかっていたので、自信はありましたね。このパッチ(ゲームバージョン)ではダイアナケア(対策)しないし、ダイアナとオレソルの波動で後衛を倒せることが多い。4ステ(ステージ4)負けられないからダイアナとタリックでしっかり体力を残してレベル9(最大レベル)へ向かうことが大切です。

──とにかく面白かった。表情も豊かで

決勝はリラックスしてましたね。だからオレソルもやっちゃうか!となってたし、賞金でかいんでいい順位を獲りたいのもあるし。

オレソルなんてこの大会誰もやってないんでツイートは冗談だったんですけど笑

──賞金の使い道はありますか?

使い道もあてもないですね。デバイスや椅子とかですかね。

会場の椅子が座りやすかったんですけど7万円とかでちょっと高かったんで悩んでいます。モノは壊れないと買わないんですよ。使える状態で捨てるっていうのがありえないんです笑 だから僕が使っているもの全部安いんですよ。

──これを機にぜひデバイスや椅子は買ってください笑

次セットへの意気込み

──セット17(次シーズン)に向けて意気込みをお願いします。

プロサーキット(プロリーグ)からおちないことです。

あわよくばもう一度世界大会にでたいです。

中国でいい経験ができたので絶対にもう一度いきたいという気持ちが大きいです。

プロサーキットから落ちるのも怖いので上を見すぎないように頑張りたいなという感じです。

──読者へ一言お願いします。

勝つことだけを考えると運悪いとかでイライラしちゃうんで、楽しくてプレイするのが止められない!っていう感覚を忘れないでほしいなと思います。

TFTは夢あります。TT(アジア予選)から始めて2セット(2シーズン)で世界大会にいけちゃったので、夢があります。一般プレイヤーでも世界大会にでれるんだよというのは伝えたいです!!

そして世界大会応援してくれてありがとうございます!大会観戦が面白かったと言ってもらえて本当にうれしいです。それこそしゃるるさんも配信してくれてたし、多くの方に見てもらえてよかったです。

──Moriさんありがとうございました。


Mori選手のX: https://x.com/AmazboyAnn1

Mori選手のTwitch: https://www.twitch.tv/mori13


元記事: kimi-lol.com「世界大会4位のMori選手インタビュー」(インタビュアー: 黄身氏)

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