黒 AlphaGoZero
白 AlphaGoMaster 189手完 黒中押し勝ち
AlphaGoに限らずAIは、序盤で頻繁にツケを打つ。本局は左上で白のMasterが、見たこと無い様なツケを打った。更になんと、黒が手抜きした。
驚かされたし興味を惹かれる場面だった。
ツケは相手の石に対して最も当たりの強い手なので、攻撃的な厳しい手だと思う方もいるかも知れない。
しかし逆であることが多いのだ。
「攻めたい石にはツケるな」という格言がある様に、ツケると相手の石は堅くなる。お互いに固め合いたい時に良く使う手法だ。
ツケノビ定石や、ツケヒキ定石を見れば分かり易いかと思う。
黒が左上隅を3手かけて構えたので、ツケて堅めて構わない、軽く利かしてしまおう。
それに対して黒も手抜きして、敵が打たなかった所を衝いた。
そういうやり取りだったのでは無いかと思う。
小目に対していきなり星にツケ、などもAlphaGoお得意の手だが、これら序盤で多用されるツケの狙いは、小林光一先生の「決め打ち」に近いのでは無いか?私はと考えていた。
ツケには普通手抜きはしにくいし、対応する手の選択肢も絞られる。AIが好むと言われる「予定の立てやすさ」が得られるのではないか。
しかしこの碁の様に「ツケに手抜きも可能」となっては、単純化よりもむしろ大きく複雑化している。
残念ながら私の仮説はハズレだった様だ。