結局AlphaGoが全勝して今回のイベントは終了した。「やはりそうか。」と言うのが正直な感想だ。
イ・セドル九段に勝った時より大分強くなっている。具体的にはヨミが完璧だと思われるところだ。コウも全く苦手としない。
これらはMasterのネット対戦の時から解っていた事だ。Master以上の進歩は特に感じられなかった。
人間の棋譜から学習させない「ゼロから囲碁を学んだバージョン」では無かった。
そういう噂はあったものの、試されなかったか、上手く育たなかったのかも知れない。
今回の三番勝負では「三々」が大きなテーマだったと思う。
布石で星へいきなり「三々入り」する事に私はまだ慣れていない。正直良さが良く理解できないのだ。
しかし柯洁九段はもう分かっている様だ。強い棋士ほど新しいモノへの受け入れが早い。
そしてかつて坂田栄男先生や趙治勲先生がよく打っていた「三々打ち」も多く見られた。当分の間プロにもアマにも「三々」が流行すると思う。
個人的には三々は好きではないが、流行している以上、対応策が必要になる。
ただし、そうそう上手い手順を見つけられるものでは無く、あくまで「入ってくるかも知れない」と常に覚悟して打つ事くらいだろう。
今回のイベント終了後に、AlphaGoの対局は今後行わない、という発表があった。
最強である事を証明してすぐ「引退」とは寂しいが、Googleの打ち筋は、常に僕らの予想より早い。
改めて、よくこんなに強い囲碁プログラムを作れたものだと思う。天才たちによる偉業と言うしかない。
強いだけでなく、3年前なら考えもしない変化が囲碁に次々と起こった。
そして今後は、AlphaGoを使った囲碁上達プログラムを開発すると言う。
僕らがAIを使って囲碁を研究できる様になるまで、そんなに時間は掛からないだろう。これはとても楽しみだ。頭を柔らかくして待ちたい。