大きな模様の消し方は難しい。どれくらい深く入るべきか、どれくらい地を与えても良いのかの判断が。
初級者の方は相手に大きな模様を作らせないように、早めに制限する打ち方を勧めている。白番なら早期にワリウチをしておくのだ。
Masterの白12以下の、模様の消し方が本局の注目点だ。この様に上手く打てるなら、相手の構えが大きくても不利にならないと言うことの様だ。
この12の位置は恐らく前例が無いと思う。少なくとも私は見たことが無い。
そういう手を「これは良い手だ」と証明する方法は碁の場合無い。プログラムが終局まで何万局シミュレーションしたとしても、全部の可能性のホンの一部だし、そんな事はMasterはやっていない。
科学や数学のように、具体的な証明があって正しさを知る。という勉強を僕ら棋士はあまりしていない。
強い棋士ほど見た瞬間に、良い手がどこかを感じる事ができる。
その良さの理由は言葉に出来ることもあるけど、出来ないことも多い。
これが大局観だと言われるものだと思う。AIはレベルの高い大局観を持っている。だから白12を良い手だと、証明なしに瞬時に選択する事が出来るのだ。