人間が何千年もかかって、研究し塗り替えてきた「定石」
その中で「ナダレ」「村正の妖刀」と言う難しい定石がある。
変化が多く私もよく解っていないので、試合の際にこの定石になりそうになれば、思わず身構える。
そういう難しい定石をMasterが、あっさり簡単な物に変えてしまった。
「え?これでいいの?」という感じである。
村正の妖刀になっても、これならシチョウに悩まずにすむ。私としても嬉しい新手である。
その打ち方は、誰でも一度は考えた筈だ。「なぜ出て取ってはいけないの?」
それで馬鹿にされた人もいるのではないか。「知らないの?取るとハマリなんだよ」
私もハッキリとは判断できず「なるほど、少し厚みが勝るんだな」くらいに思っていた。定石は簡明なものを選びたいが、少しでも損と思っているのを選ぶ訳にはいかない。
AI新手に限らず定石というものは、昔からこうやって善悪の見解が何度も、時には180度いれ替わって進化して来た。
いま「常識」とされている事が絶対では無い。常に変わるものだと、何度も体験しているのに僕らはすぐ忘れてしまう。
棋士の中でも優れた人ほど、この点について自覚し自制している感じを受ける。決めつけた言い方をしない。
やはり僕らより大分「解っている」のだろう。