碁を打つ人なら誰しも、大模様を張って攻める碁に憧れを持った時期があるのでは無いだろうか。
地を守る手を全然打たずに大きく構え、入ってきた相手の石を攻めて、気がつくとあちこちに地が増えていて大勝となる。武宮正樹先生の様な碁だ。
私も子供の頃からそんな碁を打ちたかったが、相手が強くなるにつれ、攻めて勝つ事が難しくなる。
碁のレベルが上がるほど、シノギ、攻めをかわす技術、相手の囲いの中に手を作る能力がに巧みになるのだ。
本局でMasterは、まず下辺を大きく構えている。そこへ白が侵入して活きたあとに、今度は右辺が大きな地模様となる。
よくある展開なのだが、この右辺をどれくらい地と見込んでいたか、あるいは入られても構わないと見ているかが気になる。そこが解っていないと大きく広げる碁は打てない。
朴廷桓九段はこの60局のうち最も多く対局したうちの一人だが、非常に戦いが強く、複雑なヨミを必要とする場面になるほど強い印象がある。
確実なシノギでは不満と見て、あるいは充分成立するとみて白が一歩踏み込んだ瞬間、Masterが45手目の愚形の好手でねじ伏せた。あるいは朴さんは、この手をうっかりしたのかも知れない。