この碁は何と「天元マネ碁」である。
しかも70手までと、かなりの長手数マネが続けられた。
昔々呉清源先生が日本に来た時に、木谷實先生に対して63手までマネして、木谷先生が打ちにくいと言って困ったそうだ。
マネ碁は、特にコミが無い碁ではひとつの有力な作戦で、昔から著名な強い棋士も試している。
しかし良い手は何かと自力で考える、囲碁の本質からは離れていて、邪道である感じが否めない。
ただMasterの勝ちぶりをみて、もう完全に敵わないと誰もが感じる空気の中、一度は試しておきたい事ではある。
AIの弱点のひとつとして「マネ碁に弱い」という説があったからだ。
そこに挑戦した周俊勲さんの、ユニークな人柄を感じた。自分だったらとても勇気が出ないが、周さんは楽しんだのだろう。
マネ碁なので普通では無い局面となり、布石などに学べるものは無いが、マネ碁の見た目の面白さと、マネをやめた直後のMasterの鋭さ、瞬殺ぶりに注目して頂きたい。