Masterの60局感想

Masterの棋譜感想43

 

 

大きな模様の消し方は難しい。どれくらい深く入るべきか、どれくらい地を与えても良いのかの判断が。

 

初級者の方は相手に大きな模様を作らせないように、早めに制限する打ち方を勧めている。白番なら早期にワリウチをしておくのだ。

Masterの白12以下の、模様の消し方が本局の注目点だ。この様に上手く打てるなら、相手の構えが大きくても不利にならないと言うことの様だ。

この12の位置は恐らく前例が無いと思う。少なくとも私は見たことが無い。

そういう手を「これは良い手だ」と証明する方法は碁の場合無い。プログラムが終局まで何万局シミュレーションしたとしても、全部の可能性のホンの一部だし、そんな事はMasterはやっていない。

 

科学や数学のように、具体的な証明があって正しさを知る。という勉強を僕ら棋士はあまりしていない。

強い棋士ほど見た瞬間に、良い手がどこかを感じる事ができる。

その良さの理由は言葉に出来ることもあるけど、出来ないことも多い。

 

これが大局観だと言われるものだと思う。AIはレベルの高い大局観を持っている。だから白12を良い手だと、証明なしに瞬時に選択する事が出来るのだ。

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