人工知能の囲碁

The Future of Go Summit①感想

 

 

ついにAlphaGoと世界最強者、柯潔九段との三番勝負が始まった。

 

2015にヨーロッパチャンピオンに勝ったAlphaGo、その後3月にイ・セドル九段に4-1で勝ったAlphaGoとは、数ヶ月で強さもスタイルも大きな進歩を感じた。

柔軟に打って形勢判断に明るく、打ち方に偏りがない反面、部分的なヨミには驚くような脆さも持っていた。

 

2016年末からネット対局場に現れた「Master」が、AlphaGoのニューバージョンだった。世界チャンピオンクラスの棋士を含む選手たちを相手に、なんと60連勝をした。

手数の長い部分的なヨミや、コウ、弱点とされていた部分を完璧にクリアして、破壊的な戦闘力が加わっていた。

 

それからまた5ヶ月経っている。コンピュータープログラムの進歩は、時間感覚が全く僕らとは違う。更に別世界の強さになっていて不思議ではない。

Masterの時点ですでに、人類を越えた事は誰しも認めている。

 

AlphaGoは最初に、人間の棋譜をベースに学習を始めた。どんなに強くなっても初手は星であり小目である。

これをプロ棋士の棋譜を使わずに、ゼロからAIに学ばせるとgoogleの発表があったと聞く。

 

今回のAlphaGoがその方法で作られたものだろうか?

 

もしそうなら囲碁の打ち方が根底から変わるような、ぶっ飛んだ布石を見せてくれるのではないか、と期待していた。

 

例えば張栩さんの「ブラックホール」や、God Movesの「中央シマリ」の様な打ち方だ。

あるいは、優れたAIが囲碁をゼロから学んでも、基本的な打ち方はそう人類と変わらない。という事が分かったなら、それも嬉しい事だ。

 

そういう文脈からすると、本局はあまり衝撃を感じない。

普通に上手い人の碁、という印象だ。普段、柯潔さんや世界のトップ棋士が勝つ時の碁を見ているのと、私的には変わらない。

「今までに無い碁」では無かった。

 

ただし、解りやすく静かに打ち進めて勝てるのは、それだけ力の差があるからそうなっている。という面はありそうだ。

 

待ちに待ったこの碁を見るにあたって、極力誰かの解説が目に入らないようにして、自分の感じたものだけで考えようと心がけた。

的はずれなコメントが多いかも知れないが、それはそれで面白いだろう。

 

最後は最小差になったが、おそらくもっと余裕があった勝利と思われる。Masterの時もそういう傾向があった。

 

本局を踏まえて、2局目以降の柯潔さんがどんな作戦を取るかに、注目している。今回、AlphaGoに勝つことの難しさは、柯潔さんが誰より良く分かっていると思う。

イ・セドルさんの五番勝負では、第4局のネット解説を私がしていて、セドルさんが勝った。感動的だった。

 

今回も私は、第3局の解説を担当する予定になっている。

またあの感動を味わいたい。できる事なら。

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