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第1回SGW中庸杯 本戦の結果!

2018年12月8日と9日に行われた第1回SGW中庸杯の本戦について。

 

朝9時半に集まっての抽選会から始まった。

本棋戦協賛のセントグランデW 嶋屋宏則様のご挨拶のあと、箱の中からボールを取り出して、書いてある数字で枠番が決まる、世界戦などでよくある方式で組み合わせが決まった。

 

ネット対局での予選は1手20秒だったのが、本戦は30秒、1分の考慮時間10回というNHK杯方式で1日2局打つ。1局に大体90分、長ければ2時間を超える。

午前10時開始で、2回戦は14時半から。スイス式リーグなので16名の参加者全員が途中で負けても4回打つ事が決まっている。もちろん目指す優勝には4連勝が必須なのでトーナメントと同じ気持ちで臨んだ。

 

そしてこうなった。

31才~60才までという中庸世代の早碁棋戦ということで、予想通りというべきか、30代の棋士が上位を占めた。

私は優勢に進めていた碁を後半ガタガタに崩れてしまい、2回戦であっさり夢は消えた。

小さなミスが出て、気持ちが崩れてミスの連鎖と言う、よくあるパターンである。

 

普通はこれでお役御免だが、この棋戦は全員4局打つ。後の頑張りで上位入賞があるのと、ダラダラ負け続けると対戦した棋士の点数が下がり、迷惑を掛けてしまう。優勝がないとはいえ、翌日も真剣に勝ちに行かねばならぬ。これはスイス方式の良さだろう。

 

秒読みでの対局は1局の合計時間は短くなるものの、消耗度は長い碁と変わらないのかも知れない。

2局ずつ2日間は、私にとって結構キツかった。20代までは先輩棋士達の「対局で疲れる」という言葉の意味が分からなかったが、40過ぎてからは痛感させられている。

今後、日本もこの様な連日対局の棋戦が増える気がする。オヤジ世代は体力作りも必須になりそうだ。

 

 

そして林漢傑八段対安斎伸彰七段の決勝戦では、25世本因坊治勲先生の大解説会が日本棋院で行われ、You Tubeの日本棋院チャンネルでも中継された。

その解説ぶりと会場の笑い声が、僕らが打っている対局室にも聞こえていた。趙治勲先生のあの能力は本当に凄い。

そして優勝した林八段の戦いぶりは圧巻だった。このリーグ戦は全局、幽玄の間ネット中継されたので、ぜひ林君の4局の棋譜を見て頂きたい。ボッコンボッコン殴り続けて大石を取って勝っている。

井山裕太さんや山下敬吾さんの碁を見ていてもそうだが、勝つ棋士は、技術だけでなく燃え上がる闘志が、打つ手にあらわれる。

マムシドリンクでも飲めば私もあんな碁が打てるだろうか。

 

打ち上げの席で嶋屋様の「1回戦開始前に、16名の皆様の緊張した空気を感じられたのが、とても幸せでした。」の言葉が印象に残った。

確かに私も「優勝」が久しぶりに近くに来た気がして、緊張感があった。

 

昔からある若手棋戦の他に「マスターズカップ」「夫婦杯」「over40」「トライカップ」などユニークな棋戦が増えて来ている。非常に有り難いことだ。

 

今回の中庸杯は、結果は残念だったものの、本戦に参加して棋士として楽しい時間を過ごせた。セントグランデW様に感謝している。

 

未勝利馬のレースである本棋戦は、優勝した林漢傑八段は卒業。

私は来年の優勝に向けて身体作りを頑張ってみようと思う。

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