11月21日に私の本が発売される。
嬉しいけれど、ちょっと困っている事もある。今回は少し、その裏話を書いてみたい。
私が出した囲碁の本で一番売れているのが「石の形集中講義」である。2006年に出版され2012年に「完全版」として再出版された。
他にも「捨て石」や「布石」「詰碁」などの本も作っていて、これだけが受けた理由が、私には今ひとつ実感できていない。
周りに聞いたところ、どうも「石の形」というテーマがアマの皆さんにとって取っ付きやすく魅力的だったらしい。
これは私が選んだわけでは無く、それまで誰かに石の形について講義した事も無かった。
2016年にNHK囲碁講座を担当した時のテーマも「石の形」で、この本が元ネタになっている。
何しろ「集中講義」の時のライターさんと編集さんがそのまま「NHK囲碁講座」のスタッフでもあったので、やりやすい事この上無かったのである。
もちろんNHK囲碁講座は、テレビ番組とテキスト誌がセットだから、全く同じ作りで、という訳にはいかない。
テレビ講座の時間枠にハメ込むため、テーマ図の数や解説の量が普通の棋書よりも限定されるし、章立て等も放送回数に合わせて決められている。
また生徒役、戸島花さんの囲碁スタイルを考慮し「彼女が理解してくれるだろうか?」という目線でもテーマ図作りをしていた。
そしてNHK講座は、番組終了後に書籍化される事がある。ありがたい事に私の講座もそうなった。
かくして、同じ著者、同じテーマで本が2冊誕生して、一体どちらを買えば良いのか?とお客様から聞かれる事も増えた。
それはそうだ。
ただ「石の形集中講義」は書店でもAmazonでも在庫切れである事が多かった。
井山裕太さんの本や大橋拓文君のAI本とは違い、私の本は完全なロングテール商品である。
チビチビと売れる本に、出版社としても増刷は、とても出来ないので仕方ないのだ。
電子書籍はあるのだが、やはり本で読みたい、という方が多い。
迷っているお客さんには、いずれ近い内に廃版になるだろうだから「集中講義」を買っておいたらどうか、と言っていた。
ところが今年マイナビさんから、まさかの「文庫版で作り直し」の依頼が来た。
私としては、増刷より手間は掛かるものの、思い入れのある本だけに、生き残ってくれるのは嬉しい。
また、AIによる囲碁の打ち方と石の形講義の関係について、説明をしたいと思っていた。前書きにそれを書かせて頂いた。
で、こうなった。
40問の練習問題が追加されているが、それ以外の部分については、多少気になる間違いを修正した程度で、内容は同じである。
これから私の石の形本を買いたいと思っている人に、この2冊の違いを説明出来る方がいたら、レビューをお願いしたい。
私には上手く説明できない。そう変わら無いのではないかと思うが、サイズの違いは意外に大きいかも知れない。
似たような本が2つあることに、ちょっと申し訳ない気持ちもあるが、面白い状況だなぁとも思っている。